情報起業家の卵たち

2004年

起業家への道のり


澤田総合法務事務所 : 澤田 尚美

それは大学4年の初夏のことだ。ある事情から私は内定していた大手企業への入社を断り、板橋の小さな個人事務所で働き始めた。マンションの一室にあるような小さな士業事務所である。時給800円で保険もなし、社員研修もなし。毎日自転車に乗って役所や零細企業の顧問先を周り、夕方事務所に帰ってからは、終電の時間まで事務処理の仕事をした。毎日毎日そんな生活をしていた。誰も仕事を教えてくれる人はない。全部自分で考えて仕事をすすめていた。ところが大学を出たばかりで世間知らずの私は給料を値切られ、いつのまにか時給から完全歩合制になり、挙げ句の果てには給与の支払いも滞るようになった。しかも悪いことに所長の愛人にいじめられるようになり、仕事の濡れ衣を着せられて、追われるように事務所を辞めさせられた。

当時私は、大学を卒業してからまだ1年もたっていなかった。再就職先を探そうにも、板橋の零細事務所で1年も働いていないような人間を雇ってくれる会社などどこにもなく、私はたった一人、広い世の中に放り出されてしまったような気持ちになった。しかしこのまま世の中の底辺を這いつくばって終わるような人生にだけはしたくなかった。「何かを自分の力で起こさなければならない。」そんな情熱だけが自分を支えていたのを覚えている。そんな私には、初めから独立するしか選択肢がなかったのかもしれない。

こうして人脈もお金もコネもない状態から一人で事務所を立ちあげ、もう3年になる。時が流れ、私は、周りから「先生」と呼ばれるようになった。セミナーの講師や雑誌のコラムの執筆も手がけるようになり、現在は本を出版するために執筆中である。そしていつしか私は、そんな自分の経験を後に続く人たちに伝えたいという想いに駆られるようになった。そんなときに出会ったのが小林敏之先生の日本講座起業協会だった。

よく「苦労した人ほど人に対して優しくなれる」と言うが、人と違う経験をされた方というのは、誰かにその経験を伝えなければならない役目を授かった、選ばれた人間なのではないだろうか。私の体験など大したものではない。もっと大変な苦労をされている方は世の中にたくさんいる。しかしそんな私でも、自分の経験を伝えるという一つの使命を持って生かされているような気がしてならない。

私はまだまだ未熟で発展途上の人間だが、これまでの自分の道を振り返って一つだけ確信したことがある。それは、自分がこうなりたいと強く思ったことは、数年後必ずその通りになるということだ。みなさんもぜひ、たくさんの人の心に希望の灯を灯すような、そんな素敵な講座をつくってほしいと思っている。


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