新聞連載コラム「商いは芸」
新聞連載コラム「商いは芸」2005年4月12日号
満開の桜もあっという間に葉桜となった。旬は一瞬のうちに過ぎる。開花前のあの騒ぎはどこへやら・・。
葉桜も風情があって、また違った趣きもあるが、わざわざ愛でる人は少ない。
もし桜が長い間咲いていたらこれほど騒がれることもないだろう。すぐに散ってしまうからこその人気なのだ。
やはり人は儚さが好きなのか・・・。
桜の花は、まるで消費者心理を心得ているかのようだ。
花のように散ることのできないモノの場合、一定期間が過ぎると、人為的に散らさなければならない。
ファッション、車、パソコンなど、まだまだ使えようがおかまいなしにどんどんニューモデルを打ち出してくる。
人の心は一定のところにとどまることが苦手だ。変わらないものをつい軽んじる。ニューモデルはそんな飽きっぽい人の心への、メーカーの生き残り策でもある。
ああ勿体ないと人間達の有様にあきれた桜が、見本となるべく散らなくなったら人はどう思うのだろうか・・・?
