新聞連載コラム「商いは芸」
新聞連載コラム「商いは芸」2005年10月11日号
巣鴨の地蔵通り言わずと知れたおばあちゃんの原宿である。
四、五人で横一列に並んでおしゃべりしながらゆっくりゆっくり歩く。
店先には、デパートなどでは到底見ることのできない縁起物の赤いパンツや、らくだのシャツが並んでいる。大きな塩大福を売っている店では、腰を下ろす場所が用意されていて、お茶まで出してくれる。
もちろんBGMは、美空ひばり。
そこはおばあちゃんたちのセーフティーゾーンなのかもしれない。
確かに「とげ抜き地蔵」というお寺はあるが、それだけではない。全国の商店街にもアーケードもあれば寺もある。違っているのはただ一点。お得さんとお断りするお客をさかさまにしている点だ。
日本中どこを探しても若者を排除し、おばあちゃんだけにターゲットを絞り込んだ街はないだろう。
まさに逆転の発想なのだ。
逆転というのは、こちらの目が見当違いなのかもしれない。少子高齢化社会にとって、主たるお客は高齢者なのに商店街が、どこもいまだに若者を取り込もうと躍起になっている。もしかしたらこちらのほうが見当違いなのかもしれない。
まさにおばあちゃん経済特区といえよう。この街は、未来都市なのかもしれない。
でも、おじいさんが排除されているような気がしないでもない・・・。
どこぞにおじいさんの原宿という新たな経済特区を作るべく手を上げる商店街はないものだろうか ?
